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【2008年4月】
●クローバーフィールド/HAKAISHA
●船、山にのぼる
●つぐない
【4月続き】
●フィクサー
●パラノイド・パーク
●大いなる陰謀
●ラフマニノフ ある愛の調べ
【4月続きその2】
●ブラックサイト
●譜めくりの女
【4月続きその3】
●ゼア・ウィル・ビー・ブラッド
●さよなら。いつかわかること
●NEXT -ネクスト-
●紀元前1万年
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●『クローバーフィールド/HAKAISHA』★★
(2008/米/1時間25分)4月5日公開 |
監督:マット・リーヴス
製作:J.J.エイブラムス
出演:マイケル・スタール=デヴィッド
リジー・キャプラン
ジェシカ・ルーカス
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かつて大ヒットした『ブレアウィッチ・プロジェクト』同様の、POV.=ポイント・オブ・ヴュー(主観撮影)の手法を使って、大がかりなシチュエーションを撮ったらこうなる、という見本。
スペインでも同工の『REC/レック』というホラーが150万人動員のヒットで、やがて日本でも公開予定だから、ここのところPOV.ばやりの様相だ。
で、本作は、早い話しが東宝の怪獣映画を逃げ惑う市民の視点だけに徹底して絞って見たら、という、誰でも思いつきそうだが実現は至難なアイデアであり、プロデュースのJ.J.エイブラムスは、これを『M:i:3』のキャンペーンで来日した時に閃いたのだそうな。
つまりは、日本の怪獣映画へのオマージュであり、実際、日本へ赴任するロブ(マイケル・スタール=デヴィッド)の送別パーティーの模様を細かく見せることから始まっているし、エンド・ロールに流れる音楽などは、大袈裟なブラスにヴォカリーズがかぶったりしてかなり大時代的であり、いかにも往年の東宝特撮映画あたりを連想させるような味わい。
ただ、日本の特撮映画が大いに学ばなければならないのは、ローランド・エメリッヒ版の『GODZILLA』同様、怪物の本体をなかなか見せずに盛り上げていくあたりの、一見リアリズムと錯覚させるような上手さであり、ある種、映画の原点=見世物興行を再確認させるところだろう。
途中で多少ダレる箇所もあるが、観ている間は大変に面白い。
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●『船、山にのぼる』★
(2007/戸山創作所/1時間28分)4月5日公開 |
監督:本田孝義
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広島県の北東部にある灰塚地区にダム建設の話が持ちあがったのが、今から40数年前のことだそうで、長い建設反対運動を経て美しいダム湖を残すためにダムエリアの再建が始まり、そのひとつがこの「船をつくる話」。
ダムに沈む村の谷間に、伐採される20万本の木々から船を建造し、ダムに貯水が始まって水位が上がるのを利用して船を動かし、山の上に定着させる、というもの。
この映画は、そのアートプロジェクトの一部始終を静かに見守るように収録したものだ。
基本的に主催者側のイヴェント記録であり、そこに批評的な視点が有る訳ではないが、静かな山間地に素朴な筏のような船が作られて行く過程や、ゆったり上昇してくる湖水に船が浮かび、それにゆるりと棹差して目的の山の中腹まで移動させていく様子が、いかにも周囲の自然に溶け込んで心地良く、しばし時間を忘れるようなひと時を味わわせてくれる。
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●『つぐない』★★★半
(2007・英・2時間03分)4月12日公開 |
監督:ジョー・ライト
出演:キーラ・ナイトレイ
ジェームズ・マカヴォイ
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原作はブッカー賞作家イアン・マキューアンの小説「贖罪」で、それを『プライドと偏見』のジョー・ライト監督、キーラ・ナイトレイ主演というコンビが映画化したもの。
舞台は1935年のイギリスの、上流階級の屋敷。
作家志望で13歳の多感な少女が、姉と使用人の息子との仲を嫉妬し、邸内で起きた事件の濡れ衣を着せて使用人の息子を刑務所送りにしてしまい、生涯、その罪の意識を背負って生きて
行く…。
こぢんまりした佳作のようなものを想像して観始めたのだが、どうして、なかなかにスケール大きく、大戦中のロンドンの街中とか、ダンケルクの海岸に大挙した連合軍の中を移動カメラで延々と長廻しするところなど、息を呑むような迫力であり、これは単なる文芸ものという以上に、戦争映画としてもかつて無いユニークな傑作だ。
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