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								 【2005年8月】 
									 ●皇帝ペンギン 
									 ●ライフ・イズ・(ア・)ミラクル 
									 ●ヴェラ・ドレイク 
									 ●星になった少年 
									 ●ロボッツ | 
								
									 
									 
										
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												 ●皇帝ペンギン ★★★ 
												 (2005・仏)  | 
										 
										
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												  監督:リュック・ジャケ 
												 声:ロマーヌ・ボーランジェ 
												   シャルル・ベリング 
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									昨年の海洋ドキュメンタリー『ディープ・ブルー』には圧倒されたけど、これもよく撮っている。 
									ペンギンの中でも特にサイズの大きい皇帝ペンギンの生態に肉迫して、飽きさせない。 
									特にペンギンの家族に焦点を当てているのは、夏休みの親子連れ観客めあてだが、たしかに子供連れで行くのに最適の映画。それゆえ、自然界の摂理の残酷な面はぎりぎりでカットされてしまうあたりは致し方ないところ。 
									 
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												 ●ライフ・イズ・(ア・)ミラクル ★★半 
												 (2004・仏・セルビア=モンテネグロ)  | 
										 
										
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												  監督:エミール・クストリッツァ 
												 出演:スラヴコ・スティマチ 
												    ナターシャ・ソラック 
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									旧ユーゴの内戦を内側から見た喜劇。それもかなりあざとい笑いで「濃い〜」喜劇に仕立てていて、ミハルコフの『シベリアの理髪師』なんてのを思い出したくらいで、ちょっと小洒落たソフトなコメディを見馴れたむきには、洗練味とは程遠く感じるだろうが、着想は抜群に面白い。 
									息子を捕虜に捕られた男が、敵側の女を掴まえて捕虜交換で取り返そうと画策するが、いつしかその女に情が移ってしまい、息子は取り戻したいけど女は行かせたくない、というムシのいいジレンマに陥ってしまう話し。 
									なにやら画面の端々にまでエネルギーが満ちていて、本筋とは関係無い、一緒に写り込んだ動物のようなものまで、やたら元気に飛び跳ねている。 
									 
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												 ●ヴェラ・ドレイク ★★★半 
												 (2004・仏・伊・NZ)  | 
										 
										
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												  監督:マイク・リー 
												 出演:イメルダ・スタウントン 
												 
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									これは圧倒的な世評の高さに違わず、近来の傑作。 
									地味な題材を、いささかのケレンも無く正攻法で描ききるところは、ケン・ローチにも通じ、イギリス映画のクォリティを示す。 
									まだ妊娠中絶が禁止されていた1950年のロンドンで、違法な堕胎を無報酬で引き受けている主人公のヴェラは、家政婦をしながら老人の面倒もみているといった善意に溢れた女性。だから、中絶が違法だという認識は充分あるものの、彼女の意識では「困った娘さんたちを助ける」という、あくまで善行の範疇なのだが、そこに厳格な法の裁きが下る。 
									CGやら、めまぐるしいカメラ・ワークやら、フラッシュ・バックやら、といった技巧とは全く無縁で、クローズ・アップやロング・ショットすら最少限に抑えた、終始落ち着いた映像は、小劇場の舞台をさえ連想させ、映画というものの一方の極を見せてくれる。 
									 
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												 ●星になった少年 ★★★ 
												 (2005・フジテレビジョン・東宝)  | 
										 
										
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												  監督:河毛俊作 
												 出演:柳楽優弥、常盤貴子 
												 
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									いわゆる児童映画という分野の持つ独特の臭み、わざとらしさというのは、どうも敬遠してしまうのだが、これは、そういう面もあるにしろ、素朴に泣ける佳作だった。 
									やはり実話というのが説得力の根源で、原作はこの少年の母親。 
									そして、何と言ってもカンヌ最年少受賞以来の柳楽くんが、やっぱりあの独特な目の輝きで存在感を示す。 
									大詰めにもって来た象たちの曲芸ショーは、かなり質素で、およそショウアップとは程遠いけれども、逆にあざとさや虚飾の無い良さを見せてくれる。 
									題名を間違えて「象になった少年」と勘違いしそうだけど、実際に観てみたら、それもあながち的外れではないラストだった。 
									フジテレヴィとしては、『踊る大捜査線』シリーズなどよりは、よっぽど意味のある成果だろう。 
									 
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												 ●ロボッツ ★★半 
												 (2005・アメリカ)  | 
										 
										
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												  監督:クリス・ウェッジ 
												 声:ユアン・マクレガー 
												   ハル・ベリー 
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									CGアニメはほんとに日進月歩で、『アイス・エイジ』のスタッフが作ったこれも、金属のガラクタの質感がかなり本物っぽく、グラフィックと人形コマ撮りとをミックスしたような印象がある。 
									登場するのはすべてロボットのみだが、しかし、ここに描かれているのはロボットの世界ではなく、人間の世界をそっくりロボットに置き換えたもの。 
									だから、「人間とロボットとの共生」といったテーマはここには全く無く、「セレブversus庶民」とか「エリートversus凡人」という、チャップリンやキートンの昔からエディ・マーフィやジム・キャリーの近年に至るまで、アメリカ喜劇が営々として築いてきた基本的なテーマが、そのままロボットの世界に移行され、展開されるのだ。 
									それは、恐竜アニメの『ダイナソー』が、実は西部劇のアナロジーだったのを想起させる。 
									例えば主人公の父親はレストランの皿洗い専業ロボットなのだが、人間のいないこの世界で一体誰が皿に盛った料理を食べるのか(笑)。 
									また、ここでの出産は、赤ん坊の組み立てキットが宅配されたのを、夫婦が協力して組み上げることなのだが、それは幼児がするような「お産ごっこ」を思わせずにはおかず、クローン人間が現実味を帯び、有名ハリウッド女優が人工授精で子供を作ったり、結婚はしたくないけど子供は欲しいと公言する女性が珍しくない時代を反映しているのだろうか。 
									そして、ストーリーの本筋は、旧型のポンコツ・ロボットを全部スクラップにして新型に入れ替えようという陰謀なのだが、そこに優性思想やナチスのホロコーストを連想するのは、そんなに穿った裏目読みでもあるまい。 
									ことほど左様に、アニメというのは現実を映し出すものなのだ。 
									 
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