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 【2005年4月】
 ●アビエーター
 ●エターナル・サンシャイン
 ●ロング・エンゲージメント
 ●鉄人28号
 ●カナリア
 ●ディボース・ショウ
 ●ソン・フレール 兄との約束
 ●ローレライ

●アビエーター ★★半
 (2004・米)

 監督:マーティン・スコセッシ
 出演:レオナルド・ディカプリオ、
    ケイト・ブランシェット


今年のアカデミー賞(2/27)を報道するニュースでは、NHKを含めてどの局も、「レオは主演男優賞を獲れませんでした」、という切り口のオン・パレードで、少なくともわが国においては、アカデミー賞の主役は間違いなくレオ様(!)だった。
で、実際に観る限り、確かになかなかの力演で、役に入り込んで懸命に演じてる様子はよく判るんだけど、比較すればやっぱりジェイミー・フォックスのレイ・チャールスぶりに一日の長があり、もしこちとらに一票あったならば、どうしても『Ray』に入れちゃっただろうな、と思った次第。
しかし、これでオスカー助演女優賞を受賞したケイト・ブランシェットのほうは、やや芝居が誇張気味で、これまで彼女が見せてきた多くの演技に較べ格別上出来とも思えず、疑問符がつく。
個人的には、ジュード・ロウのエロール・フリンぶりを楽しみにしてたんだけど、ほんのワン・シーンで終わっちゃったんで、がっかり。

●エターナル・サンシャイン ★★★
 (2004・米)

 監督:ミシェル・ゴンドリー
 出演:ジム・キャリー、
    ケイト・ウィンスレット


アカデミー脚本賞受賞だけど、そうでなくても、チャーリー・カウフマンの新作とあれば注目しちゃうところ。
思った通り、平凡な男女のラヴ・ストーリィと見せておいて、次第に意表を突く展開の数々が重なって行き、話しはややこしく絡み合って進む。
だから、ジム・キャリーとケイト・ウィンスレットというユニークな配役に、ロマンティックな内容を期待した向きは、大いに戸惑うこととなり、実際、映画館で並びに座ってた女性は、カウフマンの奇想天外に付いて行けなかった様子ありありで、途中で出て行ってしまった(笑)。
ともかく、この奇妙な面白さはカウフマンならでは。

●ロング・エンゲージメント ★★★
 (2004・仏)

 監督:ジャン=ピエール・ジュネ
 主演:オドレイ・トトゥ


監督・主演が『アメリ』のコンビ。
今度は、題材も時代も大きく変ってかなりシリアスなのだが、どこか前作を思わせるユーモアに溢れてるとこが、実にユニークで楽しい。
第一次大戦の塹壕戦がいかに過酷なものだったかは、『西部戦線異状無し』を始め、クーブリックの『突撃』やピーター・ウィアーの『誓い(ガリポリ)』などで繰り返し描かれて来たが、これも相当に見応えがある。
ただ、大いに盛り上がって感動する筈のラストは、予定調和ということもあり、意外に平坦。
監督も、ちょっとみえみえの結末に、照れくさかったんだろう。

●鉄人28号 ★半
 (2004・T−28プロジェクト)

 監督:冨樫森
 出演:池松壮亮、蒼井優


小学生の頃、雑誌「少年」で横山光輝の原作漫画を読んでたオジサン世代としては、「どうせがっかりするだろうな」と思いつつも、つい観てしまう。
案の定、脚本も演出も、いまの世界水準からすれば相当に低レヴェルで、何より、正太郎少年の鉄人操縦修行という、一番やってはいけないコンセプトで映画化してしまってるのが致命的。
昨年(2004)、TV東京の深夜でも30分のアニメ・シリーズとして放送してたけど、そっちのほうがよっぽどユニークで、マニアックなこだわりもあって、面白かった。

●カナリア ★★★半
 (2004・オフィス・シロウズ)

 監督:塩田明彦
 出演:石田法嗣、谷村美月


塩田明彦のは『黄泉(よみ)がえり』以来だが、こっちのほうにより「らしさ」がある。
のっけから字幕スーパーの説明が続くのがちょっと窮屈な印象で、損な入り方。
でも、カルト教団から保護された少年が児童施設を脱走する冒頭からは、緊張感で惹き付ける。
明らかにAUM真理教をモデルにした題材だけに、理屈っぽくなりがちだが、成り行きで少年に同行する少女(谷村美月)の関西弁が、そこをかなり救っている。
主役のふたりは、撮影時点ではどっちも14歳なので、12歳という設定はちょっと無理だけど、寡黙と饒舌のコントラストがよく出ていて、共に好演。殊に谷村美月は、かなりいい女優になりそう。
ただ、ラストで少年の髪が突然真っ白になってる、という小細工は、寓話的な昇華を意図したのだろうけども、終始リアルな世界にあっては異質過ぎ、疑問を感じる。







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