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 【2006年7月】
 ●ポセイドン
 ●インサイドマン
 ●カーズ

●ポセイドン ★★半
 (2006・米WB・1時間38分)

 監督:ウォルフガング・ペーターゼン
 出演:カート・ラッセル
    ジョシュ・ルーカス
    エミー・ロッサム
    レイチェル・ワイズ


 今やパニック映画の古典視されている『ポセイドン・アドヴェンチャー』(1972)のリメイク。
 今度は船体の外観をすべてCGで作り、大セットに組んだ内部構造ともども、その出来映えには目を見張る。
 旧作はその点、どうしても模型っぽさ、セットっぽさが残っていて、ラストの救出シーンなど随分チープだったのを思い出す。
 撮影が、ペーターゼンとは『パーフェクト・ストーム』でも組んだ名手ジョン・シールで、得意の空撮のイメージを生かした画づくりなど流石に上手く、巨大セットも存分に使い切っている。
 ただ、人物ドラマのほうは、かなり設定が変更されていて、旧作では何と言ってもジーン・ハックマンの牧師の重厚さが印象的だったのだが、今度は上映時間が短いこともあってか、ひたすら脱出へ向かう段取りを追うのが主で、人間像の彫り込みはやや通り一遍の感じ。
 だが、そこはペーターゼンのこと、旧作が最後は救助隊に助け出されたのに較べ、今度は自分たちの力で脱出してみせるあたりに、時代を反映した主張が見られる。

●インサイドマン ★★★
 (2006・米・2時間08分)

 監督:スパイク・リー
 出演:デンゼル・ワシントン
    クライヴ・オーウェン
    ジョディ・フォスター


 これは娯楽映画として充分に面白いだけでなく、スパイク・リーらしい味わいにも富んだ、なかなかの傑作だ。
 銀行強盗が人質を取って立て篭もり、ネゴシエーターが犯人たちと交渉する、という話しは、古今東西、ヤマほど作られているが、こんなにユニークな展開と、意表を突いた結末がまだあったとは……と、舌を巻かされる。
 ストーリーと並行して、開放された人質たちに聴取するヴィデオ映像が次々とインサートされて行くが、やがてその意味が明らかになるにつれ、ひとつひとつの内容が実にリアルで真に迫っているのに感心し、ドキュメンタルに堪能させられる。
 また、最初の通報者であるパトロール警官の丁寧な人物造形など、ちょっとした所でも作品の骨格を太く堅固にしているのだ。
 落ちのトリックは意外に古典的だが、すっかりだまされ、犯行の最終目的を含めて、まったく予想外であり、これには唸らされた。
 デンゼル・ワシントンが存分に役を楽しむように演じていて、それにも魅せられる。

●カーズ ★★
 (2006・米・2時間02分)

 監督・脚本:ジョン・ラセター
 声の出演:オーウェン・ウィルソン
      ポール・ニューマン 


 ピクサーのアニメは、日本のジブリ・アニメと並んで、本当に駄作が少ない。
 これも、擬人化されたクルマたちの躍動感ある演技(?)が、大いに楽しませてくれる。
 コンセプトは、人間の世界をすべて自動車の世界に置き換えたもので、生身の人間がまったく登場しない点は、昨年の『ロボッツ』(2005)同様だ。
 だから、カー・レースの場面でも観客席にひしめいているのは全部クルマで、カーズがカーに声援を送ってるってわけだ(笑)。
 そこに無鉄砲な若者がデビューし、周囲との軋轢を生みながら成長して行く、というストーリーは、典型的なビルドゥングスロマン【Bildungsroman】である。
 また、CCOのジョン・ラセター自身が6年ぶりに監督しているのは、この1月にピクサーがディズニーに買収されてからの長編第1作、という意気込みを感じさせるところ。
 ポール・ニューマンが引退した元チャンピオンの役で台詞を入れているが、声優としては初出演だそうで、流石に深みの有る音声を聴かせ、期待に応えている。








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