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【2005年6月】
●『オペレッタ狸御殿
●『ミリオンダラー・ベイビー
●『ザ・インタープリター
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●オペレッタ狸御殿 ★★★
(2005・ジェネオン他) |
監督:鈴木清順
出演:オダギリ・ジョー、チャン・ツィイー
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鈴木清順の待ちに待った新作!
この前が『ピストルオペラ』で今度は『オペレッタ』と、題名は「歌劇」づいてるけど、別に他意は無さそう。
『狸御殿』シリーズ自体は、「子供の頃、1〜2本テレヴィで見たかな?」程度の記憶しかないが、清順さんの奇想天外は、あくまでそれとは別物だ。
大島ミチルの作曲も役者たちの歌唱もそれなりに出来ていて、「喜歌劇」としての体裁はまずまず。
美空ひばりをCGで出演させたのは、技術的にはとっくに出来ることでも、やはりコストのほうがやっと追いついたってことと察せられる。
ちょっと残念なのは、撮影の段階からフィルムでなくディジタル・カメラを使ってるせいだろう、満開の桜や一面の花畑といったシーンの解像度や彩度がいまいちで、『ツィゴイネルワイゼン』や『陽炎座』の、網膜を貫き通して脳裡に突き刺さるような鮮烈な映像に較べると、衝撃が劣るのは何とも口惜しいことだ。
カンヌでは暫し喝采が鳴り止まなかったそうだが、清順ファンが集まれば当然の反応かも。
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●ミリオンダラー・ベイビー ★★★
(2004・米) |
監督・主演:クリント・イーストウッド
出演:ヒラリー・スワンク
モーガン・フリーマン
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クリント・イーストウッドがオスカー主要部門かっさらいの話題作だけに、大変な期待をもって観た。
結果は、朝日の夕刊に沢木耕太郎が書いた「ほとんど完璧だが、傑作ではない」をもじって言えば、「完璧でもなく、傑作でもない」。
ただ、観る価値の有る映画であることは否定しないが。
まず設定上の疑問があるし、また、女ボクサーの家族がいかにも類型的だという不満もあるが、そういうのは重箱の隅だとしても、これは尊厳死についての問題提議を越えたひとつの解答であって、個人的には、おいそれと賛成できるもんじゃない。
イーストウッドのある種のタナトス志向が、はっきりと出ているのは確かだ。
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●ザ・インタープリター ★★半
(2005・米) |
監督:シドニー・ポラック
出演:ニコール・キッドマン
ショーン・ペン
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ハリウッドのリベラルらしい、民主党的、国連擁護映画。
しかし、娯楽映画としても充分に面白い。
何と言っても、史上初めて国連ビルを実際に使ってのロケーションというのが見どころだ。
だから、真っ暗な大会議場での密談をマイクが拾い、同時通訳室で偶然それを聞いてしまう、という、かなり御都合的な設定にも、場所が本物だけに、けっこう説得される。
展開はスリリングで、アクティヴな見せ場もあり、役者のふたりも持ち味を発揮して……と、なかなか好調だったが、ラストのネタ明かしに来て、ちょっとありきたりなTV映画的結末で、ここだけは拍子抜け。残念。
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