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【2005年2月】
●オペラ座の怪人
●Ray
●ベルヴィル・ランデヴー
●トニー滝谷
●北の零年
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●オペラ座の怪人(2004・米)★★★
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監督:ジョエル・シューマッカー
出演:ジェラルド・バトラー、
エミー・ロッサム
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ガストン・ルルーの原作は、サイレント時代から繰り返し10回も映画化されてるそうだし、舞台でもケン・ヒル版ってのがあったけど、そういうのを全部差し置いて、今や一番有名なのがこのミュージカル=A・ロイド・ウェッバー版になってしまった。それを、ウエッバー自身のプロデュースで映画化したんだから、正調の格式高い見応えある傑作を期待しちゃうところ。
だが、たしかにウエッバーの音楽はたっぷり聴かせてくれるんだけど、実際の舞台ならじっくり観ていられるナンバーも、映像になっちゃうと、ただただ歌ってるだけで変化に乏しい曲が有るのは、舞台ものの映画化の難しいところ。
多くのオペラの映像化も、そこんところで苦労してるわけなのだが…。
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●Ray(2004・米)★★★ |
監督:テイラー・ハックフォード
出演:ジェイミー・フォックス
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レイ・チャールズの伝記映画だけど、本人自らがプロデュースに噛んでるので、言わば正式公認作品。ジェイミー・フォックスの成りきりぶりも、レイ自身が惚れ込んでのことだとか。
しかし、例えば『ベニー・グッドマン物語』みたいな、人間関係の複雑なところを端折って当たり障り無く撮った凡作に較べれば、レイの欠点も弱点も結構あけすけに出て来るので、表面的な奇麗事には終わっていない。
とにかくレイ節がたっぷり聴けるのが何よりで、とりわけ、クラブで時間の穴埋めに即興で始めた曲が「ホワッド・アイ・セイ」になって行くシーンなど、多少のフィクションは有るにしろ、ぞくぞくする楽しさ!
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●ベルヴィル・ランデヴー(2002・仏・加・ベルギー)★★半 |
監督:シルヴァン・ショメ
声の出演:ジャン=クロード・ドンダ 他
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フランスのアニメは、日米のを観慣れた目には凄く新鮮で、全く感覚が違う。
台詞のほとんど無いスタイルは、アニメの原点回帰のようで、カリカチュアの仕方がちょっとブラックというかシュールな点も、およそ子供向けではない、大人のアニメだ。
とにかくユニークで面白い。
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●トニー滝谷(2004・ウィルコ)★★★
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監督:市川準
出演:イッセー尾形、宮沢りえ
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市川準の映画は久方に観たが、画面の暗さがいや増して深まり、内容もタナトス志向気味で、これまた暗さが進んでいる。
しかし、それだけに、奥底までじっくり染み込んで来るような感動があり、観る価値は充分。
ナレーションの途中からを画面の人物が引き取って続けて語る、というような気取ったスタイルを嫌う人もいるだろうが、こちとらは観てるうちにさして気にならなくなった。
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●北の零年(2005・東映)★半
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監督:行定勲
出演:吉永小百合、渡辺謙
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始まりはいかにも堂々たる大作の風で、これは重厚な傑作かと思わせるが、後半に進むに連れて首を傾げる回数が増え、大詰めに至ってはもう『ラスト・サムライ』並みの陳腐な展開で、実に期待を裏切られる。
特に渡辺謙の演ずる役に説得力無く、その動機付けにも行動にも、まるで納得が行かない。
撮影現場では、役者の演出に粘りに粘って、トラック(テイク)が50にも及んだショットがあったそうだが、そんな所にこだわる以前に、シナリオをもっとちゃんと練り上げるほうが先決ではないのか?
こういう駄作が、いかにも文芸的・歴史的良心作のように喧伝されるのは、何とも困りものだ。
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