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2009年は、飛び抜けた傑作が無かったわりには平均点が高く、順位づけに苦労しました。
ダーレン・アロノフスキの待望の新作『レスラー』は、落ちぶれプロレスラーと子持ちの踊り子の恋という、えらくベタな題材にも拘わらず、アロノフスキらしさを封印して正統的に撮っているのが感嘆もので、ヴェネチア金獅子もむべなるかな、の傑作。
2位の『あの日、欲望の大地で』は、「21グラム」「バベル」の脚本家ギジェルモ・アリアガが遂に長編監督デビューした注目作で、相変わらず見事な時制のコントロールには瞠目。期待に違わぬ出来でした。
『チェ28歳の革命』と『チェ39歳 別れの手紙』は、本来、別の作品ですが、同年公開でもあり、前後編と考えて1作の扱いにしました。
2009年の最大痛恨事は、チャーリー・カウフマンの初監督作『脳内ニューヨーク』を見逃したこと。絶対に観るつもりでいたのに、バタバタしてるうちに気がついたら終了していた…、というわけで、今後、観る機会があったら、このベスト10にも変更が入るかもしれません。
おそらく世評が高いであろうと思われる、クリント・イーストウッドの『グラン・トリノ』や『チェンジリング』は、このベスト10では全く入れておりません。観ていないわけではありませんので、念のため(笑)。
(満点=★★★★)
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第1位 |
『レスラー』★★★★ |
第2位 |
『あの日、欲望の大地で』★★★半 |
第3位 |
『愛を読む人』★★★半 |
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第4位 |
『チェ28歳の革命』+『チェ39歳 別れの手紙』★★★ |
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第5位 |
『正義のゆくえ I.C.E.特別捜査官』★★★ |
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第6位 |
『ダイアナの選択』★★★ |
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第7位 |
『スラムドッグ・ミリオネア』★★★ |
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第8位 |
『路上のソリスト』★★★ |
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第9位 |
『ザ・バンク 堕ちた巨像』★★★ |
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第10位 |
『消されたヘッドライン』★★★ |
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次点 |
『ダウト』★★★ |
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『デュプリシティ〜スパイは、スパイに嘘をつく〜』★★★ |
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『バーン・アフター・リーディング』★★★
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【監督賞】 |
ダーレン・アロノフスキー(『レスラー』) |
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【主演男優賞】 |
ミッキー・ローク(『レスラー』) |
ベニチオ・デル・トロ(『チェ28歳』『チェ39歳』) |
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いずれか甲乙つけ難く、ふたり授賞といたしました。
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【主演女優賞】 |
シャーリズ・セロン(『あの日、欲望の大地で』) |
ケイト・ウィンスレット(『レボリューショナリー・ロード』『愛を読むひと』)
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こちらも、いずれも捨て難く、ふたり授賞にしてしまいました。
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【リメイク賞】 |
『3時10分 決断のとき』★★★半
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西部劇の名作が、きょうびのキャストで新鮮に蘇って見応えあり。
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【ドキュメンタリー賞】 |
『キャピタリズム マネーは踊る』★★★
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これは期待に違わぬ傑作。笑いながら溜飲を下げられる。
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【アニーメーション賞】 |
『カールじいさんの空飛ぶ家』★★★ |
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もっぱら世評でも言われてる通り、冒頭15分の回想シーンだけで涙もの…。ただ、3Dで公開されたものの、通常アニメとして充分の出来映えで、あえて立体映画にする効果はイマイチでした。
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【アニメ・リヴァイヴァル賞】 |
『バッタ君 町に行く』★★★★ |
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2009年最大の慶事は、このアニメ史上の名作にしてフライシャー兄弟の大傑作がリヴァイヴァルされたこと。1941年製作だけに、さすがに古さを感じさせるところは有るが、ラストはやっぱり涙が止まらない。
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【ミュージカル映画賞】 |
『マンマ・ミーア』★★★
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もう楽しいのひとことで、これは映画の原初的魅力に通じる。
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【音楽映画賞】 |
『ラ・ボエーム』★★★ |
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アンナ・ネトレプコのミミの魅力をたっぷり堪能。ただ、最後の最後でロドルフォをフレーム・アウトさせるのは全く疑問。
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【VFX特撮賞】 |
『アバター』★★ |
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もうCGで作れないものは無いのでは、とすら思わせる圧倒的な映像で、3Dの効果も有る。だが、映画としては往年の西部劇の焼き直しで、新味は無い。
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【旧約聖書啓蒙映画】 |
『ノウイング』★★
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『2012』★半
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「賞」ではなく、単なるレッテル貼りですが、どちらも聖書の啓蒙が通底してる。片や「アダムとイヴ」神話であり、片や「ノアの方舟」の現代版。それにしても『2012』の科学考証無視はひど過ぎる。
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【期待外れ】 |
『私の中のあなた』★★半
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『スペル』★★
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どちらも期待が大きかっただけに、落胆も大きい。
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【ラジー賞・映画メモ版】
<ワースト・ワン> |
『イングロリアス・バスターズ』★
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大虐殺の報復を大虐殺で、というのはまさに不毛。しかし、ここまで後味が悪いのは、逆にあっぱれか(笑)。
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『沈まぬ太陽』は演出がTVドラマっぽくて深みに欠けるところが困るが、日航機事故の犠牲者や遺族に感情移入して涙が止まらず、長尺でも見応えは充分。
2009年=太宰治の生誕100年=では、『パンドラの匣』がなかなかにユニークな佳作で、逆に『ヴィヨンの妻』が期待外れ。
(なお、2010年公開で対象外だが、『人間失格』は演出も主演男優もイマイチの不作)
邦画もまた飛び抜けた傑作は無かったが、それでもベスト・テンが揃うだけの本数はあったということで、全体としてはまずまずの2009年でした。
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第1位 |
『沈まぬ太陽』★★★
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第2位 |
『パンドラの匣』★★★
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第3位 |
『群青』★★★
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第4位 |
『劔岳 点の記』★★半
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第5位 |
『ヴィヨンの妻』★★半
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第6位 |
『感染列島』★★半
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第7位 |
『20世紀少年 −最終章−ぼくらの旗』★★半
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第8位 |
『20世紀少年 第2章 最後の希望 』★★半
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第9位 |
『カムイ外伝』★★
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第10位 |
『旭山動物園物語』★★
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次 点 |
『南極料理人』★★ |
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【監督賞】 |
冨永昌敬(『パンドラの匣』) |
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【主演男優賞】 |
渡辺 謙(『沈まぬ太陽』) |
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【主演女優賞】 |
川上未映子(『パンドラの匣』)
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助演として扱う向きもあろうが、ここでは主演女優として顕彰します。映画初出演とは思えぬ落ち着きぶりで、実に魅力的。
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【撮影賞】 |
木村大作(『劔岳 点の記』)
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この「本物の映像」には確かに圧倒されるが、ただ、監督まで自分でやったのは疑問で、ここは専門家を起用すべきではなかったか。音楽がすべて泰西名曲なのはいいけれども、ポピュラー名曲を通俗名曲としてしか使えていないあたりに、その弱点が出ている。
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【拾い物】 |
『ドロップ』★★
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漫才の品川ヒロシ初監督作だが、お笑いの余業にしては観るに耐えるどころか、どうして、なかなかにユニークな才能で、同工のガレッジセール・ゴリが作った『フリムン』が案の定なのに較べると、かなり観られる。
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【期待外れ】 |
『ハルフウェイ』★半
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『しんぼる』★半 |
【ラジー賞・映画メモ版】
<ワースト・ワン> |
『ロボゲイシャ』★
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これでは《おバカ映画賞》もあげられない(笑)。 |
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