これらの和風月名はもともと旧暦での呼び名であるということは述べたとおりですが、太陽暦が採用になった後も慣用的に用いたため、意味あいが変わってしまったものもあります。
例えば五月晴れというとどんな様子を思い浮かべますか?今なら、初夏のすがすがしい晴れ間というイメージですが、本来は旧暦五月、梅雨時の晴れ間のことを指した言葉です。同様に五月雨も梅雨時の長雨を指した言葉です。
芭蕉の句に
五月雨を集めて早し最上川
というのがありますが、梅雨時の長雨で最上川は水かさが増し、その圧倒的な水量に感じ入って詠んだ句です。他にも弥生にしても卯月も、霜月も現在の季節感とは一カ月程度ずれていることで解るはずです。
とはいっても、この日本独特の和名を味わいたい気持ちは大切にしたいもので、この辺の事情を理解した上で使うことにより、日本語の豊かな表現力に触れることができるでしょう。
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