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月の基礎データ

月と季節の暦(旧暦カレンダー)
月暦手帳(旧暦手帳)
●志賀勝先生の<月の三部作>

●乱暴な明治改暦
●西暦とのズレに悩む岩倉使節団
●福沢諭吉と『改暦辨』
●改暦以前の歴史年表の日付はすべて旧暦
・忠臣蔵
・本能寺の変
・天正遣欧少年使節団
・ヒュースケン襲撃さる
・和暦にあって西暦にない

・詩歌と月
・百人一首と月
●月言葉
・月を冠した言葉の数々
月に関する故事・ことわざ

月ことば

 月を冠した言葉や月を表す言葉の多さは私たち日本人の繊細で豊かな創造力のあらわれでしょう。
 合理的な思考や発想が求められる現代にあっても、失いたくない日本人の感性であると思います。


月を冠した言葉の数々


■月の明るさや様子を表したことば
薄月 うすづき 薄雲がかかって、ほのかに光る月。季語は秋
朧月 おぼろづき ほのかにかすんで光の淡い月。季語では春。→朧月夜(おぼろづきよ、またはおぼろづくよ)

有名な歌に『おぼろ月夜』がある。
 ♪菜の花畠に 入り日薄れ 
  見わたす山の端 霞ふかし
  春風そよ吹く 空をみれば
  夕月かかりて におい淡し
(「朧月夜」詞:高野辰之、曲:岡野貞一、大正3年)
※「夕月かかりて」とあるから、いわゆる三日月〜上弦、満月前の月のこと。
葭町二三吉が唄った「祇園小唄」
 ♪月はおぼろに東山
  霞む夜毎のかがり火に
  夢もいざよう紅桜
  しのぶ思いを振袖に
  祇園恋しや だらりの帯よ
(「祇園小唄」詞:長田幹彦、曲:佐々紅華、昭和5年)
霧島昇と渡辺はま子が唄った「蘇州夜曲」
 ♪涙ぐむよな おぼろの月に
  鐘がなります 寒山寺
(「蘇州夜曲」詞:西條八十、曲:服部良一、昭和16年)
※蘇州は中国の上海に隣接する街。現在は江蘇省蘇州市。戦争の渦中につくられた名曲。

佳月 かげつ 美しい月、名月のこと。
寒月 かんげつ 冴えて寒々とした月。季語は冬。
月暈 げつうん 月の周囲にあらわれる輪状の光。月の暈(かさ)
皓月 こうげつ 白く照り輝く月。名月をさすことも。季語は秋
孤月 こげつ もの寂しい月
霽月 せいげつ 雨上がりの月。わだかまりのない、すっきりした心境の喩え。→光風霽月
素月 そげつ 白く冴えた月、名月。旧暦八月の異名
田毎の月 たごとのつき 小さく区切られた階段状の水田(棚田)の一つひとつに映る月影。田毎の月の名所として知られるのが長野県更埴市の冠着山(かむりきやま/標高1252m)、別名姥捨山の北麓。因みに実際に田毎に同時に月影を見ることはできない。→帰る雁田毎の月のくもる夜に(蕪村)
 安藤広重「田毎の月」
淡月 たんげつ 光がうすく淡い月。朧月に同じ
白月 はくげつ 白く輝く月、冬の寒々しい月
明月 めいげつ 曇りなく済みきった満月
朗月 ろうげつ 澄みわたった月
雨月 うげつ 名月の夜、雨が降って月が見えない様
無月 むげつ 名月の夜、むら雲がかかり月が見えないが、雲のどこかがほのかに明るくなっている様
■形の変化の様子
盈月 えいげつ しだいに円くなっていく月。三日月から十五夜、望に向かう月
虧月 きげつ 満月からしだいに欠けて新月に向かう月
■月の形や満ち欠けから
さく 新月のこと
眉月 まゆづき 「びげつ」とも呼び、眉のような形の月
繊月 せんげつ 三日月など細い月
三日月 みかづき 本来は月暦三日の月をいう。広く一般的に眉のように細い月を呼ぶことも多い
片割れ月 かたわれつき 半分、またはそれ以上欠けた月。→逢ふことは片割れ月の雲隠れおぼろけにやは人の恋しき(人麿)
片月 へんげつ 半分、またはそれ以上欠けた月〔片割れ月に同じ)
彎月 わんげつ 弓張り月のこと。彎とは弓を引き絞るという意味
偃月 えんげつ 半円形の月
弓張り月 ゆみはりづき 上弦、または下弦の月
弦月 げんげつ 上弦・下弦の半月をいう
上弦 じょうげん 右半円状の月。半月
下弦 かげん 左半円状の月。半月
■円い月
月の輪 つきのわ 月のことで、特に満月をいう
満月 まんげつ 文字どおり満ちて欠けることのない月。望のことで、一般的に十五夜をさす場合もあるが、十五夜は必ずしも満月ではない
ぼう まんげつのこと
■時間や位置から
暁月 あかつき 暁の空に残っている月。普通、下弦から二十六〜二十七日月くらいをさす。→暁月夜(あかつきづくよ)
有明の月 ありあけのつき 有明の月、暁月夜、残月は同じような月をいうが、有明の月といった場合、枕草子にあるように夜明け前、東の空から昇る二十六日前後の細い月を指す場合が多い
残月 ざんげつ 有明の月のこと
斜月 しゃげつ 斜めに照らす月。西に沈もうとしている月
名残の月 なごりのつき 夜明けの空に残る月。月暦九月十三夜(仲秋の名月の名残という意味か)の月をいう時もある。
夕月 ゆうづき 夕空に残る月。夕月夜(ゆうづきよ)
宵月 よいづき 宵の間だけ出ている月。季語は秋。宵月夜(よいづきよ、またはよいづくよ)

宵とは、日暮れの頃をいいます。広義では夜中になるまでの間。ということは三日月あたりから満月前の月あたりまでを呼ぶことになる。夕月と同じような意味あいで使われたと思われるが、小学館の『国語大辞典』には、「新月のころの月」(?)とある。→夏なれど影こそ涼し宵月の(『為忠集』)

月天心 つきてんしん 冬の月は高度が高く、真上を通るように見えることから。→月天心貧しき町を通りけり(蕪村)
待宵月 まちよいづき 旧暦十四日の月。十五夜の前日で、満月を待つところから
十六夜 いざよい 旧暦十六日の月。月の一日は24時間より50分ほど長いので、月の出は毎日、平均で50分ほど遅れます。十六夜は十五夜の月に比べて月の出がやや遅れ、その様を「ためらいがち」としていざよいと呼ぶようになったとか。季語は秋
立待月 たちまちづき 旧暦十七日の月。日が落ちてから立って待てる程度に月の出があるところからこう呼ばれている。季語は秋
居待月 いまちづき 旧暦十八日の月。日が落ちてからゆっくり座って待つ程度に月の出があるところから。季語は秋
寝待月 ねまちづき 旧暦十九日の月。月の出が遅いので、寝て待つところから。季語は秋
臥待月 ふしまちづき 寝待月に同じ。季語は秋。
更待月 ふけまちづき 旧暦二十日の月。夜が更けてから月の出を待つところから。季語は秋
■その他
湖月 こげつ 湖に映った月。
水月 すいげつ 水面に映った月。→照る月も影水底に映りけり似たる物なき恋もするかな(中宮内侍)
氷輪 ひょうりん 凍りつくような月

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