今年のエイプリルフールいかがでしたか?エイプリルフールといえば、あんなに頑張っていた東京新聞が止めた? 余りにもひどい現実の嘘に嫌気がさし、心温まるウソのような本当の話を紹介することにしたというものらしい。朝一番、売店で求めた東京新聞を手にいつもの特派員便りを読むが、どうも勝手が違って肩すかしということに相成った。
確かに昨今、「ウソのような本当の話、信じたくない嘘まみれの現実」が多すぎるきらいがある。
低い支持率の中でやたらご機嫌な麻生総理、小沢一郎の第一秘書の逮捕で一気に元気を失った民主党。一時期「経済は一流、政治は三流」といわれたことがあったが、政争なき政局に一喜一憂する永田町の三文芝居をいつまでもつきあわされている国民は不幸というほかはない。そして、その三文芝居をあおっているのがマスコミという構造は、百年に一度の世界的な不況という状況になっても変わらない。もっとも、それを許しているのは有権者であったり視聴者でもあるわけで、政治批判をすれば、マスコミ批判をすれば「天に唾する」ことになるから厄介だ。
言っているのか言わされているのか、お笑い芸人までもがバラエティー番組などでおもしろ半分に?、無責任に?政治批評を垂れ流す。
思えば、「ウソだろう!」という事件は、一級建築士の偽装、溢れる不法放棄の山、ペアレンツモンスターに悩む教師、暴力患者に翻弄される病院、食品偽装や料理の使い廻し、自己虫に溢れる行為や事件、後を絶たない飲酒運転とひき逃げなどなど、あげればきりがない。本当のようなウソの話が色あせるはずだ。
まあ、こんな世の中だからこそ、まじめに?エイプリルフールを考えることも必要かな、ということで、今年は何の仕掛けもしなかった者の戯れ言。
一世を風靡したあのイギリスのBBSのするエイプリルフールは大がかりであった。古くはスパゲッティーのなる木を放映してみたり、人まねをする熊を見せるため、精巧な熊のぬいぐるみを作り、それを自然に演じられるように、役者の卵は血のにじむような努力を惜しまなかった。去年もCGを駆使して空にペンギンを飛ばしたりとにかく仕掛けがスゴイ。
フランスのエイプリルフールは風刺とエスプリを感じさせるものが多いように感じる。その最たるモノが、フランスの名門新聞「ル・モンド」を模した「贋ル・モンド」で、それが価格が本紙の7倍弱であったにもかかわらず、売れに売れて増し刷りをしたというから面白い。
このいずれも、エイプリルフールであることを明かさないのが特徴だ(ヒントが隠されている場合も多い)。
そして、だます側には流儀が、だまされる側には品格が問われるのもエイプリルフールである(これは、エイプリルフールにかぎらず、ユーモアやジョークに対してもいえることかも知れない)。
【だます側の流儀】
・罪がないウソ、人を傷つけないウソであること
・なにがしかのユーモアやウィット、批評精神があること
・だまされた人が思わず楽しくなる、温もりを感じさせるモノであること
・決してやりすぎないこと
など
【だまされる側の品格】
・だまされても決して目くじらを立てないこと
・だまされたらウィットに富んだ切り返すくらいのセンスをもつこと
・だまされたことを愉しむ度量をもつこと
など
イラク訪問で靴を投げつけられて株をあげたのはブッシュ元大統領、同様にイギリスで株を下げたのは中国の温首相、決め手になったのはユーモアのセンスであった。
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