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月の基礎データ

月と季節の暦(旧暦カレンダー)
月暦手帳(旧暦手帳)
●志賀勝先生の<月の三部作>

もしも月がなかったら

Q1 もしも月がなかったら地球はどうなっていたでしょうか?

「もし地球に月がなかったら」、という命題は多くの天文学者の創造力を刺激して止まない問題でしょうが、私は総ての人類が一度は真剣に考えてみるべきだろうと考えています。
 ニール・F・カミンズの『WHAT IF THE MOON DIDN'TEXIST』(1993年)、『もしも月がなかったら』(竹内均監修・増田まもる訳・東京書籍、1999年)<写真右>は、私たちに多くの衝撃を与えました。愛・地球博(2005年3月25日〜9月25日開催)でも、「三菱未来館@earth」が、この本を下敷きにしたシミュレーションを映像物語として放映したので、観た方もいらっしゃると思いますが、改めて地球環境を考える縁(よすが)となったのではないでしょうか。
 私たちの地球環境が、奇跡のような精妙で微妙なバランスの中で保たれていることを肝に銘じなければなりません。詳細はこの書に謙として、いくつかの要点をまとめてみます。

1 地球の自転軸の傾きはかなり不安定になった。

まず、衛星としては異例の大きさをもつ月の潮汐力によって、地球の自転軸の傾きは平均23.34度に保たれ、その変動は5度以下です。もし、月がなければ自転軸の傾きはかなり不安定になり、地球の気候は極端に変動するというのです。この変動により生命体は果たして、誕生のキッカケを得ることができたか、また、誕生したとしても気候の極端な変化に耐えて順調な進化を遂げることができたかはなはだ疑問であるというのが科学者達の共通な認識であるといわれています。

2 月のない地球の自転は速く、1日が8時間となる。

月の潮汐力はまた、地球の自転速度を抑える働きももっています。このため、月がなければ地球の自転速度が速まり、1日が8時間程度になってしまうという。これにより、空気の流れも速くなり、絶えず強風が荒れ狂う環境になっていたでしょう。短い昼と強風荒れ狂う環境での生命の進化はやはり順調に進んだかどうか疑問が起こります。

3 月のない地球では大気の構成が変わっていた。

月が地球に与える最も大きな影響は1.2.でも述べましたが、その大きな潮汐力です。この潮汐力により海に生命の創造に必要な化学物質の混合や拡散を助け、海洋生物が繁茂し、このことにより、陸上動物の呼吸に必要な大気の形成をうながしたといわれています。今日でも、この潮汐力によって天然の干潟を形成し、多くの生物の育成を助け、またこれにより海の浄化が進み、生命維持の微妙なバランスを保っているといわれています。

4 月明かりのない地球がなにをもたらすか?

この地球上の海洋生物や微生物、昆虫、植物などは、夜の月の満ち欠けによる潮汐力の変化や月明かりを巧みに取り入れて、生命維持や生殖活動を維持しているものも多く見受けられますが、月がなければ当然これらの生物の存在は危ぶまれるでしょう。また、人類にとっても、緩やかな月明かりがもたらした文化も多く見受けられます。暦の発見も遅れたかも知れないし、穏やかな人類の情緒の保全もうまくいかなかったかも知れません。

いずれにしても月の存在がなければ、地球は生命にとって快適な環境にはなっていなかっただろうことが想像できますが、それ以上に生命の誕生から進化、維持は精妙で微妙なバランスによって成り立っています。人類の飽くなき欲望によってもたらされた環境破壊が加速度的な勢いで進む今日の状況をもっともっと真摯に考えていかなければならないことだけは確かでしょう。

ニール・F・カミンズ/著 竹内 均/監修 増田まもる/訳
ISBN:4-487-76113-1
定価:2,310円(本体 2,200円)
発売年月:1999.07.01
体裁:四六判 352頁
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